中国人技能実習生 陳と田(チンとテン)
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「陳(チン)、もう2年生だねっ」
手で2を作って、そう言ったから理解したのか
いつもの、めちゃくちゃいい笑顔で頷いてくれた。
陳は、中国人技能実習生。
3年間の契約だ。
最近はコロナ騒動には、なってはいるが、
昨今では、建設業、介護職と急速に人材が不足して外国人技能実習生、外国人労働者の受け入れが進んでいた。
私が勤める水産加工会社でも、中国人、ミャンマー人と、アパート2棟分を寮として、受け入れている。
ここで働きはじめて、2年目になる陳(チン)は今年25歳になる中国人の女の子。
うちの会社には、数十人の中国人が実習生としているけれど、私の部署では、中国人は陳一人だけだった。
あと同じ部署の現場では、日本人の正社員のハタチ前後の女の子数人と派遣のフィリピン人のオバチャン数人。
それが、この春から、陳と同じ中国人技能実習生、田(テン)がひとり加わった。
ほとんど日本語がしゃべれない陳(チン)に比べ田(テン)は少ししゃべれる。
田(テン)は30歳で、陳より少しお姉さんのせいか、性格からか片言の日本語で、明るい感情表現が多く、こちらも判りやすく場もなごむ。
何か教えると
「アリガトウ」
と、軽く頭を下げてかえしてくれる。
そのしぐさが可愛らしく感じられ、外国人に言われるとやっぱ「有難う」っていい言葉だなあって思う。
感謝って気持ちいいなあって。
陳も田も、笑顔が可愛くて勘もよく素直な性格だろう。
仕事してる姿で、受け取れる。
仕事は、言葉は通じずとも、ジェスチャーと見本をみせれば、こちらのこうしてほしい意向を汲んでくれ、それ相応に働いてくれる。
いつも仕事の現場は忙しい流れ作業だ。
中国人陳とは
普段はそれほどコミュニケーションはないが、去年の年末の忘年会で、その機会はあった。
陳との会話はスマホで。
私は、グーグルで、日本語を中国語に変換し、その画面を陳に見せる。
陳は、自分のスマホに中国語から日本語に変換できるアプリを入れてて、日本語に変換された画面を私に見せてくれる。
それで、会話が成り立つ。
中国といえば、あの偽物問題だ。
中国のテーマパークで、陳の小さな可愛い娘と撮った
黒い鼻のキティちゃんの画像を見せてくれた。
私: 「これはキティちゃんではありません💧」
陳も、日本での中国の偽物問題の報道を、理解してるらしくそれは表情でうけとれた。
ちょっと笑っておどけたような困った顔を作った。
陳: 「本物のキティちゃんは、日本のどこにいますか?」
私: 「東京のサンリオピューロランドにいます」
こんな感じで、会話する。
それがすごく楽しかった。
アプリの活字で、陳の出身は四川省だと言った。
パンダ🐼のふるさとだって、教えてくれた。
ころころした可愛いらしいパンダの動画をたくさん見せてくれた。
まだコロナ騒動が大きくなる前、今度の年末の休暇はひとりで東京タワー🗼に行くって(陳のアプリで)言ってた。
行動的で日本での生活をエンジョイしている。
中国では、FacebookやYouTube、Twitterは規制がかかっている。
陳にとっては可哀想だな。
Facebookができれば、まだ日本語が出来ない陳でも、私や会社で一緒に働いている派遣のフィリピン人とだって、繋がってコミュニケーションできて楽しくなるのに。
田(テン)は子供がひとりいるって。
陳(チン)も3歳になる女の子のお母さんだ。
そんな可愛い盛りの子供を置いて、違う国に働きに来るなんて、それ相応の貧しい環境があるんだろうか。
「田テン、さみしくない?」
って聞いたら、
「ダイジョウブ、サミシクナイ、ワタシ、アカルイ、コドモノタメ、ガンバル」
本当にアカルイ笑顔を添えて、そう答えてくれた。
健気な答え聞いたら、なんだか自分が恥ずかしくさえ思えてきた。
私は日本人で生まれ、
衣食住困らず、教育を受けて、就職をして、結婚は破綻したけど💧病気もしたし、紆余曲折あるけど。
こうして、ブログを書ける環境があって
ついのすみかだって、手にしようとしてる。
この国で生まれ、毎日食べるものにも困らず、自家用車で出勤し、それが当たり前で何の疑問も持たない生活を送っている自分は幸せなんだろうなあ。
少しのことで、怒ったり、怖がったり不安になったり・・。
傲慢のような気さえする。
陳も田も、心配だろう。
国が。
家族が。
テレビは毎日、例のニュースで騒いでるけれど
空はいつもと同じ青い空。
季節もめぐり、きみどりの芽がいぶく。
ウグイスも鳴くのをやめない。
今の時節で改めて思う。
みんな
この世界の
同じ船に乗っている。
一緒に乗りきろう。
それから、また同じ部署の飲み会で、お互いのスマホで会話しようよ。