無くしたものと新しい出会い
夏野菜の植えつけ前に土づくりをしなければ。
石灰、肥料、堆肥とどれだけの量を用意すればよいか、メジャーを持ち、畑に出た。
作業が終わり、ポケットの中の車のキーを探すが無い。
やってしまった、キーロックだ。
農作業用に普段、着慣れないオーバーオールを着てきたんだけれど、そもそも、このポッケに鍵、入れたっけ?
私は1年に1度はやっちゃうんだな、これ。
パンクとかエンジントラブルとかでなくて、そのためにJAFに入ってるようなものなんだ。
しかも、今回は財布やらケータイも家の鍵も車の中なのだ。
どうする?
あぜに停めた車より、辺りを見渡すと、5,60mくらい直線上にその家のご主人が洗濯物を干していた。
こりゃ、頼るしかないということで、電話をお借りしてJAFに電話を入れることにした。
事情を説明し、お家にお邪魔すると、ナチュラルライフを楽しむための生活情報誌、「天然生活」とか「サライ」や「暮らしの手帖」だっけ?
そのあたりに載ってそうな雰囲気のお家の中だ。
ご主人は奥のキッチンに居らした奥さんに事情を説明されて、どうぞと通された。
私は、お借りした電話でJAFに問い合わせ、ここまで30分かかる旨を奥さんに伝えた。
「このお家、いいですね、お洒落な雰囲気で好きです、」
って言ったら「中古で買ったのよ、もう住み始めて、40年・・経つかしら」
そこから自分も中古物件を手に入れたばかりで畑を借りてこれから始めるところだと、始まり
奥さんは健康オタクで【食】にこだわってると言い、玄米をお豆と一緒に食べてると言う。
「よかったら食べてみる?」
とお茶碗によそってくれた。
「何時も70g計って食べてるの」
70gって手のひらをすぼめて、ちょうど収まるくらいの量。
「これで足りるんですか?」
「おかず、いっぱい食べるから大丈夫よ」
んっ!おいしい!
お赤飯に近い色をしてるのは小豆がはいってるから。
もっちりしてて美味しい。
何とも充実した70gだ。
お茶もおいしくて、ちゃっかりおかわりまで頂いてしまった。
私は47年生まれだが、息子さんは49年生まれだそうで親世代。
もうすっかり、話が弾んだ。
JAFの待ち時間30分も、あっという間に。
窓からJAFのトラックが見え
「すみません、あまえてしまって」
「いいのよ、これもご縁だから」
って、お礼を言って、お宅をあとにした。
それから、JAFのお兄さんに車を開けてもらったのだが、キーロックだろうと思い込んでいたが、鍵は無かった。
もう、何度も探したつもりだったが、また改めて畑をみてみると。
後日、表に奥さんが出ていたので、改めてお礼を申し上げた。
あの玄米豆ごはん、また教えてもらいたいなぁ。